マデイラ・ワインの特徴と種類!世界三大酒精強化ワインを徹底解説!
世界三大酒精強化ワインの一つに数えられるポルトガルの『マデイラ・ワイン』。
ワイン好きであれば、必ず一度は耳にしたことがある『マデイラ・ワイン』の特徴と種類を徹底解説します。
マデイラ・ワインとは?
『マデイラ・ワイン』は、ポルトガル領マデイラ島で造られる酒精強化ワインで、ポートワインやシェリーと並ぶ世界三大酒精強化ワインの一つに数えられています。
酒精強化ワインとは、酵母が発酵する段階で蒸留酒を入れることで、酵母を死滅させ、強制的に発酵を止めて造られるワインことを指します。
簡単に言えば、本来、ワインは発酵により辛く/酸っぱい味わいになりますが、それを途中で止めることで、ブドウ果汁の甘味が残った味わいのワインになる、ということです。
マデイラ・ワインは、その品種や栽培方法、製造方法により、甘味が大きく変化するため、奥の深いワインとなっています。
偉人たちが愛したワイン!マデイラ・ワインの歴史!
『マデイラ・ワイン』は、その名の通りポルトガル領のマデイラ島で製造されるワインです。
「マデイラ」は“木“を意味しており、マデイラ島は、かつて、樹木の生い茂る島でした。
ところが、開拓者によって木々が焼き払われ、火山岩の上に焼けた木々が重なる珍しい土壌になりました。
そんなマデイラ島では、15世紀から既にワイン造りが行われていました。
マデイラ島のワインは歴史の各所に登場しており、1661年にはポルトガル王女キャサリンと結婚したチャールズ2世が、マデイラ島からイギリス植民地に直接ワインを輸出することを決めました。
マデイラ・ワインは酒精強化後、独特な方法で加熱処理されますが、これは17世紀ごろに始まったといわれています。
また、酒精強化自体は18世紀中頃に始まりました。
マデイラ産のワインは、アメリカ合衆国のトーマス・ジェファーソンの大のお気に入りでもありました。
そのため、1776年のアメリカ合衆国独立宣言の乾杯酒にも使われたというのだから驚きです。
他にも、マデイラ・ワインはあのナポレオン・ボナパルトにも贈呈されたといわれています。
1815年にナポレオンに1792年ヴィンテージのマデイラ・ワインが贈られましたが、1820年、ナポレオンはワインを口にすることなく亡くなってしまいました。
マデイラ・ワインの特徴
食前酒から料理酒まで!酒精強化ワインならではの甘味!
マデイラ・ワインは、世界三大酒精強化ワインの一つに数えられる通り、通常のワインにはない甘味が特徴です。
本来、ワインは酵母の働きによって発酵を促しブドウ果汁に含まれるグルコースなどの糖類が消費され無くなります。
ところが、マデイラ・ワインの場合、発酵途中でブランデー(蒸留酒)を加えることで、酵母を死滅させ、糖類の分解を防ぎます。
こうすることで、通常のワインにはない、酒精強化ワイン特有の甘味が生まれます。
また、マデイラ・ワインは、ブドウの品種や育て方、製造方法によって甘味が違います。
その甘味によって、食前酒から料理酒まで様々に用いることができます。
特殊な加熱処理で生み出される!独特な風味!
マデイラ・ワインは、酒精強化後、“エストゥファ“と呼ばれる特殊な加熱処理が行われます。
この加熱処理は17世紀ごろから始まったとされています。
この加熱処理により、マデイラ・ワインには独特な風味が生み出されるのと同時に、辛口から甘口まで大きく幅を広げ、マデイラ・ワインの奥深さが生み出します。
マデイラ・ワインの種類
マデイラ・ワインは、味わい・製法・色合いによって、それぞれ種類が分類されます。
そこで次に、マデイラ・ワインの種類についてご紹介します。
味わい(甘さ)・色合い
マデイラ・ワインは、甘さによって4段階に分けられます。
酒精強化のタイミングを変えることで、酵母を死滅させるタイミングを変え、甘味を調整しています。
また、マデイラ・ワインは、その色合いで5段階(琥珀色〜マホガニー色)に分けられます。
甘口なほど濃色となり、辛口なほど単色になります。
同じ甘さのものでは、年代が古いほど濃色に、若いほど淡色になります。
マデイラ・ワインは加熱処理の過程を踏むことで、色が落ち、全て褐色系になります。
そのため、たとえ黒ブドウから作られたワインであっても、全て琥珀色〜マホガニー色になります。
分類 |
味わい |
色合い |
ドセ |
甘口 |
琥珀色(濃) |
メイオ・ドセ |
中甘口 |
↑ |
メイオ・セコ |
中辛口 |
↓ |
セコ |
辛口 |
マホガニー色(淡) |
製法
マデイラ・ワインは、その製法や品種によっても種類が分かれます。
ここでは5種類の分類に分けでご紹介します。
フラスケイラ
・品種: 推奨品種を1品種のみ
・収穫年: 同一収穫年
・熟成期間: 樽熟成20年以上/ 瓶熟成2年
・ラベル表記: 品種/ 収穫年
※古いフラスケイラには、2品種以上で作られたものもあり、その場合、ラベル表記は無い。
コリエイタ
・品種: 規定無し
・収穫年: 単一収穫年
・熟成期間: 樽熟成5年以上/ 瓶熟成規定無し
・ラベル表記: 収穫年のみ
その他
・品種: 規定無し
・収穫年: 複数収穫年
・熟成期間: 期間によって名称が変わる
・ラベル表記: 品種
※マデイラ島の伝統品種6種のうち1種を85%以上使用の場合
名称 |
熟成期間 |
フィイネスト |
3年 ※熟成年表示無し |
リザーブ |
5年 |
オールドリザーブ |
10年 |
エクストラリザーブ |
15年 |
レインウォーター
・品種: ヴェルデーリョ(白ブドウ)をブレンド
・熟成期間: 3年以上
・味わい: 中辛口
輸送中、雨水が樽に染み込み、偶然美味しくなったことから、「レインウォーター」と呼ばれるようになりました。